【スポーツ】巻誠一郎は今何をしているのか?〜経営者としての考え方〜

巻誠一郎40才。

1980年熊本生まれ。
熊本の大津高校から駒澤大学へ進み、2003年に市原(現・千葉)でプロデビューを果たしました
その後、オシム監督のもとで頭角を現し、2006年ワールドカップドイツ大会メンバー入りを果たした

2010年夏にはロシアのFCアムカル・ペルミへ移籍。
2011年3月には中国の深セン紅鑽足球倶楽部に加入したものの、同年夏には帰国し、東京ヴェルディに在籍。
2014年からロアッソ熊本へ移籍した。
そして、2019年1月現役引退を発表した


そんな巻さんは今、何をしているのか? 

「引退発表してからほぼ毎日、熊本はもちろん全国各地を飛び回って、ほとんど休みがない(笑)。でもサッカースクール、エキシビションマッチ、試合の解説など、サッカーにまつわる仕事はごくわずかです。現状、仕事の9割から9割5分はサッカーとは直接関係ない仕事なんです」

巻さんは熊本市内で、障害を持つ子どもたちの放課後デイサービス施設4店舗「果実の木」を運営する株式会社きららの取締役を務め、障害者の就労支援に携わり、熊本の農業と福祉とを結びつける事業も手掛けている。

そのほかにも、血液中のタンパク質の画像分析によって怪我や病気の早期発見をめざす東京工業大学とのベンチャー企業にも参加している。

彼が自分のことをなんでも屋という。
そんな彼が大事にしていることは、「社会のためになること」だ。そんな想いを強くしたのは、意外にもロシアと中国での経験だった。

「最初、ロシアのペルミという町へ行ったんですが、日本人が僕ひとりしかいない。日本語が話せる方を探すのも大変でした。ロシアでも中国でも、僕のことを知っている人はまずいない。そういう環境に立たされたときに、自分は今までどれほど恵まれた環境にいたのかと痛感したんです。

 同時に、僕はいろんな人に影響を与えられる立場でもあると改めて思いました。プロサッカー選手はピッチ上でのパフォーマンスがもっとも重要な務めです。
でも、それ以外の場所でもプロサッカー選手には『価値』があり、それはとても貴重なものなんだと気づいた。
だからこそ、もっと社会と関わりたいし、世の中がよくなることに携わりたい。少しでも誰かの力になれるのなら、その手伝いをしたいと思うようになったんです」

巻選手は言う。
「集団スポーツであるサッカーで選手として生き残っていくためには、『問題提起』、『問題解決』の能力がないといけない。それが養われる仕事だと思っています。
問題というのは試合中に起きる事象でもあり、たとえば試合に出るために、自分がこの組織で活かされるためにはどうすべきかというところでもあります。
プロサッカー選手は、その問題に対処する能力が極めて高い。

 ただ、それをサッカー以外の分野に変換する応用性が足りないんじゃないかとも感じています。そこが養われれば、どんな分野でも活躍できるはず。そのうえで、社会と繋がる意識を持ち続けていくべきです。ピッチ外の行動ではなくても、ピッチ上での自分のプレーが社会にどんな影響を与えているのかと意識するだけでも違うと思います」

巻を筆頭に、本田圭佑などサッカー以外でも活躍する選手が増えている。 
巻のような考え方を持っている選手がどんどん増えていくことがこれからの理想に繋がっていくのではないだろうか??

(関連記事)
https://number.bunshun.jp/articles/-/840453